コース料理の最後に出されるデザートって、幸せの凝縮です。
繊細で、個性的。
私には、繰り返し口にしてきた夢があります。
「コース料理のデザートだけを、提供してくれるカフェがあったらいいのに!」
もちろん、そんなカフェはありません。
ところが、コース料理のクオリティのデザートだけを味わえるお店があったんです。
友達から、衝撃のお誘いのひとこと。
「デザートだけのコース、食べに行かない?お高いんだけどね」
夢が、叶っちゃいました。
アシェットデセール 未完
どんなお店?
「アシェットデセール 未完」は、デザートのコースのみを提供するお店です。
カウンター9席の、完全予約制。
お昼は、13時~、15時~の二部制でした。
カウンターの目の前で、一皿一皿作り上げられ、出来立てのデザートが提供されます。
「未完」という店名から、常に進化し続けるという、高い志が伺えます。
行ってみたい、と思わず夢見てしまうお店ですね。
アクセス
京都市営「丸太町駅」から、徒歩約15分でした。
大通りから小路に入ります。
Googleマップを見ながら行きましたが、方向音痴なので、少しだけ迷いました。
お店の入り口が、思ったよりもビルに溶け込んでいて、通り過ぎかけました~。
隠れ家チックで期待が膨らみます。
予算の目安
コース全9皿お土産付きで、税込み5940円でした。
チャージ料は550円。
ワンドリンク制で、私は830円のフレーバーティーを注文しました。
合計で、7320円です。
コースの大まかな構成は、
Amuse Dessert
アシェットデセール未完公式サイト
小さな一皿 メイン前のお楽しみ。
Assiette Dessert
アシェットデセール 本日のメインデザートです。
Sale
塩味 お口直しの塩味の効いた一皿。
Mignardises
小菓子 コースの最後のプティフール。
となっています。
完全に、デザートで構築されたコースですね。
行ってみた感想
口頭での説明を聞いただけな上、食材や調理法の情報量が多いので、うろ覚えです。
その辺りも、強く感じた味の、素直な印象ととらえて頂ければ幸いです。
ハーブティー
甘み一切無しです。
薄〜いハーブで口の中が自然とリセットされます。
少しの柑橘系と生姜を感じるお味です。
とうもろこし・塩・葛・シソ系の小さい花
とうもろこしのスープに、シソの香りが爽やかに合います。
葛の甘みが一番濃い、食感もぷつんと切れる弾力、もちっよりもアッサリした自然な食感が楽しい。
スープなのに歯が飽きない、スープだけだと微量な塩味があるのでおかずですが、葛が甘く食感もしっかりあるので、少しスイーツ感があって面白いです。
グレープフルーツ・レモンのエスプーマ・木の芽のグラニテ
柑橘以外の青っぽい爽やかさが感じられて、恐らく木の芽が上手い具合に顔を出しています。
こんなの初めて。
ミント系的な、面白いお味。
密かに紅茶を零して慌ててコソコソ拭いたり、写真に熱中せずに、早く食べときゃ良かった!
グラニテ溶けた!
悔しい悲しいリベンジしよう・・・。
レモンのエスプーマは甘め。もっと甘さ控えめで、木の芽の爽やかさを感じたかった気もする。
いや、とっとと食べなかった私が悪いんだと思います。
アオサのチップ・アップルマンゴーのエスプーマ(ソース?)・ミルクがゆ的な米・甘いゼリー
不思議。海外の上質な料理を食べるような新鮮で初めて食べる組み合わせです。
まだ舌と脳が追いつかない。
食感が米の芯の残るリゾット。そこに自然な甘みのゼリーの食感も加わる、とにかく複雑な味。
このお店にはシンプルな美味しさを求めて来たのではなく、ここでしか食べられない、人生で初めて食べる驚きを求めて来たので、むしろお金を出した価値がある「体験」「経験」だったと思います。
「私はまだまだ経験が浅いんだなぁ、もっと人生を楽しみ驚き知る余地があるんだ」と嬉しくなりました。
あと、このガラスの器が輝きすぎていて、特に横から見たらランプのように発光してるかのようです。
マンゴー「太陽のたまご」果肉とピューレ・ココナッツメレンゲ・チーズのムースを凍らせたアイス・一味
えっ一味!?となりましたが、確かに喉にピリピリ感じます。
新しさと同時に、マンゴーソーダなどトロピカルな香りと刺激は元々知るベストマッチなので、シンプルに味わえて嬉しいです。
こういった場所で、不思議や驚きだけではなく、新鮮さかつ馴染みに近いというのは親しみやすく味わい深い、脳内で咀嚼しやすく味を感じやすいです。
自分の今まで食べてきたものに基づく経験の範囲から遠すぎても訳分からんし、近すぎても面白みがないので、絶妙に良いバランスの組み合わせの味でした。
メレンゲ最高の食感と口溶けだし、マンゴー果肉も香りと甘みが立っています。
これがコースの中で1番スイーツ感があって好きだった、新鮮なのにちゃんと王道。
身近な大切な人に、自信をもって食べてもらいたくなる味です。
キャラメルアイス・パリパリ・キャロットケーキ
キャラメルアイスに深い苦味があって、そのコクのある甘みに、思わず声を上げました。
感動のアイスです。
キャロットケーキもしっとりして、野菜とスイーツの中間のナチュラルなくどくない甘みです。
チェリーの赤ワイン煮・チョコのガナッシュ・ピスタチオシフォン・パリパリの中にチョコの泡・ナッツ
チョコのガナッシュが口溶けがなめらかで、トロリ…スゥッ…と消えていく!
高級チョコの中身だけ存分に食べたいと夢見ていましたが、叶いました!
カカオの香りが濃く、甘さ控えめでずっと食べていたい。
チェリーも、酸味と赤ワインの深みがあって、カカオ味と相性がいいです。
スワン型に組み立てられたシュー生地・アボカド・トマトのエスプーマ
口に入れた瞬間、濃厚なアボカドの味と、とろける舌触り。
そしてシューの香ばしさがガツンときました。
「これ、おかずやん!」
高級なアフタヌーンティーの、クロワッサンサンドを濃縮した、ドラえもんのひみつ道具みたい!(←?)
いや本気でひみつ道具じみてたんです。す、すごい…。
トマトもそっと寄り添うように、優しい酸味が後からふんわりやって来ます。
龍の卵を使ったブリュレ・レーズンサンド・ハーブで珈琲味を再現したティラミス・チーズのマカロン・ガトーショコラ
ブリュレの色がなんと、濃厚なオレンジ色です。
卵の味がやっぱり濃い。
それ以上に、舌触りがなめらか過ぎて、舌の上で溶けます。
レーズンサンドのレーズンのお酒がじゅわ〜ふわ〜と鼻を抜ける、噛めば噛むほどレーズンの甘みとお酒の刺激がやってくる至高のレーズンです。
何よりクッキーがもはやクッキーじゃなくて、しっとりほろりしゅんわりと、口の水分を一切奪うことなく、むしろ溶け込んでレーズンと交わりました。
マカロンはもっちり系寄りで、時間が経っても食感が落ちないようにされているのかな。
さっくりメレンゲのマカロンじゃなくしてある?
お味は、優しいチーズです。
ティラミスの珈琲味の再現は、かなり珈琲の味です。
ガトーショコラは甘さ控えめでカカオ感、しっとりしてます。
焼きたて生姜マドレーヌ・焼きたて白味噌フィナンシェ
特筆すべきは、食感です。
どっちも中がね、ムースなの?ってレベルでとろけるの!口の中で溶けるの!
マドレーヌは外はサクッ、フィナンシェはもちっ。
生姜も優しく爽やかな刺激で、白味噌は塩味と甘みと深みのコクゥゥゥ!って感じ。
好きすぎて、感動です。
お店に行く前の不安と、行ってみた結論
お店に行く前の不安が、1つだけありました。
行った後は不安が解消されたので、ご紹介します。
敷居が高くて、楽しめないんじゃ・・・?
「カウンターだから圧迫感があるかも」、「お店の人が怖いかも」、「お客さんが洗練されていて、場違いかも」と不安でした。
デザートだけのコースだなんて、希少じゃないですか。
「未完」という店名も、志の高さが伺えます。
また、お昼間に、約7500円の予算を引っ提げて訪れるお店。
中身抜きで、予算だけを見れば、私にとってはお高めです。
結論、程よくリラックスして、デザートを深く楽しめる空間でした。
初めて行くお店、というのが大好きで、時にはお高めのお店にチャレンジすることがあります。
娯楽費や美容費よりも、外食費が優先だから、叶っているだけ。
庶民の小心者です。
なので、お店の方の接客によっては、「もう二度と行きたくない」と尻尾を巻いて帰ることもしばしば。
周囲のお客さんたちが洗練されていても、場違いさに萎縮したりします。
列挙するほどに、我ながら情けないですね。
そんな小心者で未熟な私でしたが、不安は払拭されました。
「アシェットデセール未完」のお店の方は、品がありつつも優しい雰囲気で、さり気ないお声かけもありました。
クオリティの高いデザートを、追求し提供されていることから、職人のような空気感を感じます。
また、お客さんたちの雰囲気も、若い方からマダムまで、幅広い世代の方がいらっしゃっていて、和やかだったのが印象的です。
シェフにデザートについて質問されている方もいて、程よくリラックスして味わえる空間でした。
小声で和やかに、連れの友人と味の感動を共有できて、嬉しかったです。
お値段も、希少なデザートだけのコースを、深く味わえる空間で頂けることを鑑みれば、価値があると思いました。
自分へのご褒美に、最高の場所です。
こんな人にオススメ
- デザートだけのコースを味わってみたい人
- 特別なデザートを特別な空間で楽しみたい人
- 自分へのご褒美の選択肢を増やしたい人
「アシェットデセール 未完」でしか得られない感動があります。
ぜひ、この特別を味わってみて下さいね。
以上、『デザートだけのコースが食べられる、夢のような場所。京都「アシェットデセール 未完」』のお話でした。
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