初めて、ミュージカルの表現がしっくりきた。インド映画の名作『きっと、うまくいく』

教訓

※今回の記事では、2009年に公開されたインド映画、『きっと、うまくいく』の軽微なネタバレを含む感想をご紹介しています。
未視聴の方や、ネタバレを回避されたい方は、注意してください。

初めて、ミュージカルの表現がしっくりきた

2009年に公開されたインド映画、『きっと、うまくいく』を観ました。


一番印象に残ったのが、インド映画特有の、歌とダンスです。
劇中に登場するフレーズ、

うまーくいく

という、人生を前向きに過ごすための、おまじないの言葉が、サビで何度も繰り返されます

ミュージカル映画の劇中歌あるあるですよね。
大切なキーワードを、歌のサビで繰り返します。

今まで私は、ミュージカル映画の、歌に対する感動が薄かったんです。

例えば、実際に舞台で聴く、生歌の迫力や熱気は、ダイレクトで分かりやすい感動があります。
対する、映画のミュージカル音楽は、背景で流れるBGMと似た効果として捉えていました。

でも、『きっと、うまくいく』の劇中歌は、場面に必要な表現として、しっくりきました

登場人物たちの時間感覚が伝わってくる

なぜミュージカル形式がしっくりきたのか、考えてみました。

大切なキーワードは、熱中と、登場人物たちの時間感覚です。

「うまーくいく」が繰り返される劇中歌が、使用されたシーン。

それは、主人公たちが、ドローンのような機械を飛ばす実験を、試行錯誤するシーンです。
何度も何度も、トライ&エラーを繰り返します。
状況はなかなか成功しない苦しいものでしたが、登場人物の表情には笑顔がありました。

つまり、登場人物たちは、深く熱中しています

何かに熱中しているときって、通常時とは違って、時間感覚がゆがみますよね。

登場人物たちの時間感覚を、視聴者に表現できる手段が、ミュージカル音楽です。

言語化できない時間って、音楽の方がハマる

インド映画特有の、軽快なリズムって独特ですよね。
秒針が刻むリズムとは、違います。

主人公たちワクワクした気持ちと、瞬く間に過ぎていく時間が伝わって来ました。

苦しい状況の中、主人公たちは笑顔を浮かべながら熱中します。
芯の強さの根源は、言語化するのならば、

うまーくいく

という言葉を自身に唱え続けていたこと、なんじゃないかと思います。
それは恐らく、無意識です。
根底に、ずっと流れ続けている音楽のフレーズのように、「うまーくいく」が根付いていたからこそ、原動力になったと考えます。

熱中していて、時間を忘れている真っ最中の、感覚。
その間、具体的な言葉って、1、2単語ぐらいしか脳内に上ってきていないんじゃないかと思います。

例えばゲームなら、「強ェ~!」かもしれません。
本なら、「次どうなるん、次どうなるん・・・」だけだったりします。

それはドラマやアニメ、ゲームなどで、いつの間にかかかっているBGMのような存在と近しいものです。

私たちが過ごしている時間感覚は、極めて主観的なもので、何から何まで言語化できるものではありません。

言葉は、点を拾い上げてくれます
その点音楽は、そっと流れ続け、幅広く線で表現できる一面を持っているのではないでしょうか。

音楽は、悲しい気持ちに共感してくれる

例えば、失恋したとき。
音楽が気持ちに寄り添ってくれる感覚は、理解しやすく感じます。

失恋って、今悲しい気持ちだけじゃなくて、これまでのエピソードが走馬灯のように存在しますよね。
思い出が込み込みで、それらを失った気持ちだから、悲しみが深い。
時間にすると膨大で、幅広いです。

この膨大で幅広い時間たちに、音楽は寄り添ってくれる力を持っています

失恋は、悲壮感だけじゃない、複雑な感情です。

悲壮感満載のベートーベンの「運命」、「♪ジャ・ジャ・ジャ・ジャーン・・・」がしっくりくることって、なかなか無いはずです。

優しい思い出もあったし、切なく甘い気持ちが混ざっていますよね。

音楽なら、不思議とすべてをひっくるめて、表現してくれることがあります。
だから聴くと、なんだか共感してもらえてたようで、救われる気持ちになることがあるんですね。

音楽は、表層に浮かんでいないだけで、常に根底に流れ続けているような心地がします。

頑張りたいときに、背中を押してもらえる音楽。
リラックスしたいときに、緊張を解きほぐしてくれる音楽。
落ち込んだ時に、包み込んで寄り添ってくれる音楽。

音楽が表現できることの幅は、途方もなく広いんだと、『きっと、うまくいく』を観て実感させられました。

言語化できない気持ちは、音楽に共感してもらおう

言語化できない気持ちは、音楽で共感してもらえて、昇華できるかもしれません。

言語化できなくてモヤモヤして、もどかしい。
でも、この気持ちを、共感されたい。

音楽には、主観的な時間感覚や、感情を、広く表現する力があります。

共感のパワーは強い

共感は、分かってもらえた、そして自分なりに掴むことができたというパワーが得られます。

音楽の持つ表現の力で、今の自分の言い表せない感情に、しっくりくる音楽と出会えると共感された心地があります。

やる気を出したい、癒されたい。

音楽は、そんな願いを叶えてくれるかもしれませんね。

以上、『初めて、ミュージカルの表現がしっくりきた。インド映画の名作「きっと、うまくいく」』のお話でした。

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